2017 年 31 巻 論文ID: 31_nakamura_20170224
要 旨
本研究の目的は,化学放射線療法を受けているがん患者のレジリエンスを明らかにすることである.対象は入院して化学放射線療法を受けており,治療に前向きな姿勢で臨んでいる研究参加の同意が得られたがん患者6 名である.データ収集は,記録調査法と半構造化面接法を用いて行い,得られたデータを質的内容分析した.
その結果,化学放射線療法を受けているがん患者のレジリエンスは,【化学放射線療法の継続に向けて動機づける】【患者としての務めを果たす】【苦痛を和らげる方法を獲得する】【化学放射線療法とその副作用を受け入れる】【自分を守る】【患者仲間に助けられる】の6 カテゴリーに分類された.これらは,治療の完遂という目標に向かって動機づけや役割意識で自分を奮起させたり,副作用症状に伴う苦痛に対処する積極的な力と,負担に感じることを受け流したり,他者から助けてもらうという受け身な姿勢による力を組みあわせ限られた期間を乗り切る力であった.
これらのことから,化学放射線療法を受けているがん患者への看護として,限られた期間を治療の完遂という目標に向かって治療意欲を高めたり,苦痛への対処方法やサポート資源の獲得を促す援助が示唆された.