2017 年 31 巻 論文ID: 31_otsuka_20170222
要 旨
本研究は,子宮頸部前がん病変と診断された女性の受診経過における体験を明らかにし,子宮頸部前がん病変と診断された女性の継続した受診を支える看護支援を検討することを目的とした.高度異形成または子宮頸がんの最終診断がついた女性10 名を対象に,参加観察,面接調査,記録調査よりデータ収集を行った.得られたデータを“前がん病変の診断から手術適応の診断”“手術適応の診断から最終診断”の2 つの時期に分類し,時期ごとに質的分析を行った.
その結果,子宮頸部前がん病変と診断された女性の受診経過における体験は,【前がん病変という曖昧な状態に戸惑う】【子宮頸がんへの進行を阻止するための手段を講じる】【見通しを立て安心感を得るために情報を求める】【安寧を脅かす情報に動揺する】【他者との関係に疑念を抱き孤立する】【励みとなる他者の存在が支えとなる】【最終診断の結果を受け止める】という,7 のコアカテゴリーに集約された.“前がん病変の診断から手術適応の診断”の時期は前がん病変の事実を受容していくことが,“手術適応の診断から最終診断”の時期は治療を終え安心感を得る一方で,新たな脅威に立ち向かうことが示された.
子宮頸部前がん病変と診断された女性の継続した受診を支える看護支援は,前がん病変の診断やウイルス感染の事実と向き合い,受け入れられるようにすること,妊孕性や術後の性生活について夫やパートナーと話し合い,生活を再構築できるように促すことが必要であると考えられた.