日本がん看護学会誌
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原著
外来化学療法を受ける初発乳がん患者の就労上の困難と対処
元井 好美掛橋 千賀子
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2018 年 32 巻 論文ID: 32_motoi_20170529

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抄録

要 旨

本研究の目的は,外来化学療法を受けている初発乳がん患者の就労上の困難と対処を明らかにすることである.就労しながら外来化学療法を受けている初発乳がん患者8 名に半構成的面接を行い,質的帰納的に分析した.

就労上の困難として【化学療法による副作用症状は仕事に支障を来たす】【治療中は全力で仕事に打ち込めない】【化学療法による副作用は女性としての外見に影響する】など8 カテゴリー,その対処として【仕事が万全にできるように自己管理する】【女性としての外見が変わらないように工夫する】【仕事をよりどころとして前向きに生きる】【重要他者を心の支えにする】など7 カテゴリーが抽出された.仕事は前向きに生きるよりどころとなっていたが,副作用症状は仕事や家事に支障を来たしていた.中でも脱毛により女性として外見が変化していくことは心理面だけでなく社会的にも影響を及ぼしていた.また,がんや副作用を抱え仕事を継続している同病者はモデル的存在となっており,交流を通してレジリエンスを獲得していた.化学療法を受けながら就労する上でアピアランスケアやピアサポートの必要性が示唆された.

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2018 一般社団法人 日本がん看護学会
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