抄録
演者らは先に千葉県,富山県,石川県のホテルなどで採集したトコジラミに抵抗性の発現が認められることを報告した.今回2010年9~11月に沖縄県那覇市,福岡県福岡市Y,福岡市W,石川県金沢市,新潟県長岡市,北海道旭川市でトコジラミを採集し,富山県衛生研究所でマウスを与えて飼育繁殖させ, 2011年 6月に感受性を試験したので報告する. 試験法は渡辺(2011)の方法で行った. 殺虫剤はプロポクスル ,ディクロルボス, フェニトロチオン,ベルメトリン,フェノトリンを,プロポクスルは市販の1%油剤を, 他剤はそれぞれ市販乳剤を1%になる様に蒸留水で希釈して用いた. [濾紙継続接触法]ピレスロイドでは試験を行った各地のトコジラミとも 24時間以内に死亡個体はみられなかった. 有機リン剤では那覇に対するフェニトロチオンを除いて12時間以内に死亡し, カーバメート剤では全地域のトコジラミが3時間以内に死亡した[腹面微量滴下法]ピレスロイドに対しては旭川を除いて100分以内に死亡する個体は無く, 有機リン剤のディクロルボスでは全ての地域で10分以内に死亡,フェニトロチオンでは最短25分から最長130分を要した. カーバメート剤では全地域のトコジラミが30秒以内に死亡した.全般的には旭川が殺虫剤に対する感受性が高く,那覇もしくは福岡が低かった.しかし千葉よりは感受性が高かった.