2018 年 32 巻 論文ID: 32_sakuraba_20180219
要 旨
本研究の目的は,看護師が認知機能低下を伴う高齢がん患者のがん疼痛をどのようにアセスメントしているのかを明らかにすることである.対象者は,5 年以上の臨床経験があり,認知機能低下を伴う高齢がん患者の疼痛緩和の経験がある看護師7 名である.方法は半構造化面接法と参与観察法を用い質的帰納的に分析した.結果,看護師が実践する認知機能低下を伴う高齢がん患者に対するがん疼痛アセスメントは【取り繕いの奥にある“つらさ”を推しはかる】【定まらない痛みの表現と向き合う】【時間をかけて痛みによる変化の裏付けを探す】【病態を基点に目に見えない痛みを予測する】【生活の中から“いつもの患者”を見直す】【記憶に働きかけ居心地を整える】という6 つのカテゴリに集約された.
認知機能低下を伴う高齢がん患者に対して看護師が実践するがん疼痛アセスメントでは,患者の微細な変化を捉え,その変化の原因と内容を察知する能力が必要であることが示唆された.さらに,看護師自身の患者への関わり方についても検証し,患者の表現が痛みによる変化であるのかを複合的に判断していく必要性が示唆された.