日本がん看護学会誌
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原著
婦人科がん患者が必要とした情報の治療時期での差異と影響要因―婦人科がん患者会会員を対象として―
稲垣 朱美
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2020 年 34 巻 論文ID: 34_inagaki_20200612

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抄録

目的:婦人科がんと診断され治療を受ける患者の情報支援における示唆を得るために,婦人科がん患者が必要とした情報の治療時期での違いと影響要因を明らかにする.

方法:A婦人科がん患者会に所属する婦人科がん患者に,郵送無記名自記式質問紙調査を実施した.調査項目は先行研究から21項目とした.婦人科がん患者が必要とした情報の診断時,治療中,治療後の治療時期での違いと影響要因について統計学的に分析をした.

結果・考察:調査票は209名に発送,回収数115件(55.0%),有効回答数111件(96.5%)であった.婦人科がん患者が必要とした情報21項目中,「精神面への支援」を除く20項目で治療時期での違いがあった.婦人科がん患者は,診断時は治療法や経済面に関する情報を,治療中は治療による合併症や副作用に関する情報を,治療後はセルフケアや再発に関する情報を必要としていた.「精神面への支援」は治療時期を通して9割が必要とし,診断時からの継続的な支援の必要があると考えられた.また,若年齢患者は,すべての治療時期でセクシュアリティに関する情報を必要とし,さらに挙児希望のあった若年齢患者では「診断時」に特に必要としていた.そのため,婦人科がん患者の年齢,挙児希望の有無を考慮した情報支援の必要がある.

結論:1. 婦人科がん患者が必要とした情報は,治療時期で違いがあった.

2. セクシュアリティに関する情報の必要度は,婦人科がん患者の診断時年齢で差がみられた.

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2020 一般社団法人 日本がん看護学会
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