日本がん看護学会誌
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原著
喉頭摘出術を受けた患者の退院後の生活における問題と対処
渡邉 直美鎌倉 やよい深田 順子
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2021 年 35 巻 論文ID: 35_45_watanabe

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抄録

【目的】喉頭全摘術および下咽頭喉頭頸部食道切除術に共通する喉頭の摘出によって生じる形態・機能の変化から生活上の問題を導き出し,失声以外の生活上の問題を確定すること,それらの問題の術後経過年数による問題の程度,術後経過年数による変化および個別に工夫された対処法を明らかにする.

【方法】喉頭摘出者の患者会に所属する喉頭摘出者1,602名に質問紙調査を実施した.799名から返送され(回収率49.9%),統計解析,内容分析を行った.

【結果】生活上の問題は,第Ⅰ因子[永久気管孔・呼吸]:②重いものが持てない,⑧入浴・シャワー時に気管孔に水が入りやすい,⑪気管孔から異物が入りやすい,⑫気道が乾燥しやすい,⑬気管孔から出血しやすい,⑭痰が頻繁に出やすい,⑮気管孔周囲の皮膚がただれやすい,第Ⅱ因子[食事・排泄]:③排泄時にいきみにくい,④熱い食べ物をフーフーと息を吹いて冷ませない,⑤麺類や汁物をすすれない,⑥げっぷやおならがよく出る,⑦固形物が喉に詰まりやすい,⑩匂いが分かりにくい,第Ⅲ因子[運動]:①全力で走ることが難しい,⑨水泳など運動に制限が生じる,の3因子15項目が確定された.③④⑤⑧⑭は,術後経過年数により問題の程度が減少した.失声・永久気管孔・痰・食事・便秘・生活全般に関わる対処法が示された.

【考察】①⑨⑩は対処法が示されず,術後経過年数に関係なく問題が継続するため,指導方法の確立が必要である.

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2021 一般社団法人 日本がん看護学会
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