日本がん看護学会誌
Online ISSN : 2189-7565
Print ISSN : 0914-6423
ISSN-L : 0914-6423
原著
経口抗がん薬治療を受ける高齢者のストレス・コーピング
山田 希石田 和子
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 36 巻 論文ID: 36_44_yamada

詳細
抄録

目的:経口抗がん薬治療を受ける高齢者のストレス・コーピングを明らかにすることである.

方法:外来通院にて経口抗がん薬治療を受ける高齢者12名を対象にした.診療録調査と半構造化面接調査にてデータを収集し,質的帰納的に分析した.

結果:【がん罹患が頭から離れない】とがん罹患を強く意識し,〖自分の人生を歩み続ける〗ことを励みに,〖経口抗がん薬を確実に飲む〗と治療に取り組んでいた. 生活のなかで〖がん罹患を忘れる時間をもつ〗ことを大切にしていた.一方で,【経口抗がん薬治療を続ける意味を迷う】というストレスをかかえており,〖医療者に任せる〗ことで治療の継続につながっていた.【副作用と付き合っていかなくてはならない】と受け止め,生活しながら無理なく服薬管理や副作用対策に取り組めるよう〖新たな習慣にする〗方法を習得し,〖この体調なら生活できる〗とコントロール感覚を得ていた.また,【子ども・兄弟に負担をかけたくない】【収入が変化するなかでの医療費負担が大きい】と家族や経済面への負担を心配し,〖自分自身で治療に取り組む〗と対策を講じていた.

結論:経口抗がん薬を確実に服用するなかで,経口抗がん薬治療を続ける意味に迷いが生じていた.経口抗がん薬治療に対する懸念や日常生活の活動範囲・社会的役割への心配に対する看護が重要である.生活のなかでの楽しみや社会的役割の継続を支え,今までの生活習慣を活かしたセルフケア支援が示唆された.

著者関連情報
2022 一般社団法人 日本がん看護学会
前の記事 次の記事
feedback
Top