日本がん看護学会誌
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原著
同種造血幹細胞移植を受けたがん患者の退院後の転倒予防行動と影響を与える諸条件
清原 花川崎 優子
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2022 年 36 巻 論文ID: 36_55_kiyohara

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抄録

目的:同種造血幹細胞移植(以下,移植)を受けたがん患者の退院後の転倒予防行動や,転倒予防行動に影響を与える諸条件を明らかにすることである.

方法:造血器腫瘍に対して移植を行った患者5名を対象に半構造化面接を行い,保健行動シーソーモデルに基づき質的記述的に分析した.

結果:移植患者の転倒予防行動を促進する動機として【治療後の身体脆弱性の自覚】【転倒に対する危機感の自覚】【参考にできる過去の経験がある】【副次的効果への期待】【社会的役割における目標がある】などの7カテゴリーが抽出された.一方で,転倒予防行動を阻害する動機として,【治療による影響でできない】【転倒予防行動への関心が低い】【社会的支援の不足】などの5カテゴリーが抽出された.対象者によって,意思決定における主体性や他者からの支援の受け入れが異なっていた.社会的支援として,医療者,家族,友人・知人からの支援や公的制度の利用を認めた.これらの影響を受けて,移植患者が退院後に行っていた転倒予防行動は,【症状への対処】【移動動作時の注意】【日常生活の調整】【身体機能回復のための運動】であった.

結論:看護師は,患者が身体脆弱性を感じる場面に出合った際にはタイミングを逃さず支援を行い,転倒予防行動の効果を伝えることや,過去の経験を参考にしながら,患者のもつ目標に沿った具体的方法を検討し,継続的に支援する重要性が示唆された.

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2022 一般社団法人 日本がん看護学会
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