2008 年 10 巻 2 号 p. 79-83
当院では、大腿骨頚部骨折に対するパスを手術法、受傷時居住地、受傷前移動能力によって10種類のパスに分けている。大腿骨頚部外側(転子部)骨折に対しては、ターゴンネイルを用いた骨接合術を行い、ターゴンネイルAパスは、受傷時の居住地が自宅で、受傷前の移動能力が独歩(杖なし歩行)か杖歩行だった患者に用いている。今回25例を対象に、移動に関するアウトカム8項目に対するアウトカム評価を行った。アウトカムの達成率は、車椅子乗車・平行棒内歩行開始・歩行器歩行自立・杖歩行開始の4項目で50%を超えていた。達成日の中央値は、平行棒内歩行開始・歩行器歩行自立・杖歩行開始の3項目が設定日より早く、車椅子乗車が設定日通りだった。歩行器歩行自立・杖歩行開始・杖歩行自立・外泊の4項目で最終アウトカムと有意な相関があった。アウトカム評価はパスの妥当性の評価であり、歩行器歩行自立・杖歩行自立の2段階でのパス変更が示唆された。最終アウトカムと相関のあるアウトカムはクリニカルインディケーターと捉えることができ、医療の質の評価に重要である。また、この結果を地域連携パスの成績評価の比較対照とすることも可能と考える。