日本クリニカルパス学会誌
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実践報告
人工膝関節置換術のクリニカルパスにおけるバリアンス分析
岩本 幸子近藤 さち西井 幸信
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2008 年 10 巻 3 号 p. 161-164

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抄録

 当院では平成15年6月より人工膝関節置換術のクリニカルパス(以下TKAパス)を使用している。平成18年10月にTKAパスの修正を行い、急性期と回復期の連携パスを作成し使用を開始した。

 今回、急性期のTKAパスを使用した14例についてバリアンス分析を行い、それに基づいてアウトカム等の修正の検討を行ったので報告する。

 平成18年10月~平成19年6月TKAパスを使用した症例は14例で、バリアンス分析の検討項目はSBチューブ®抜去日、車椅子乗車日、AVインパルス®除去日、採血日、抗菌薬投与期間、抜糸日、合併症の有無である。

 SBチューブ®抜去日の設定は1~3日とほぼ設定通りに抜去できている。車椅子乗車日は1~5日と離床にばらつきがみられた。AVインパルス®除去日は2~5日の結果がでた。採血日はセット化されているにも関わらず採血期間が異なっていた。抗菌薬投与期間は、腸炎を起こした症例を除いて平均2~3日であったが薬剤の統一はできていなかった。抜糸は、ほぼ10日前後で設定通りに施行できていた。合併症は、腸炎を起こした1例、創治癒不良の1例で、その他の合併症はみられなかった。

 今回のTKAパス症例のバリアンス分析を行ったことで、当初設定していた項目の妥当性や不足している項目など、次回改定時のポイントを抽出することができた。さらに、定期的なバリアンス分析を行うことにより、アウトカムの妥当性を高めパスの質・向上をはかりたいと考えている。

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© 2008 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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