医療の質を高め、ベストプラクティスに近づけるためにはバリアンス分析が必要である。出来高払いから診療情報を分析しバリアンス収集可能かどうか検討したので報告する。【方法】前立腺生検術69例を対象としEファイル「診療明細情報」、Fファイル「行為明細情報」を用いて解析を行った。【結果】ソフトウエアを用いてEファイルとFファイルの情報を活用した詳細パス画面を作成し、診療行為の細かい情報まで時系列で把握することが可能であった。バリアンス症例では止血薬、鎮痛薬等の余分な医療費が費やされており、バリアンスを詳細パス画面から目視で認識できた。実際に発生したバリアンスは69例中18例に19回のバリアンスが発生していたが、Eファイル、Fファイルを用いたバリアンス収集では69例中17例に16回のバリアンス収集が可能であった。入院中に発生したバリアンスについては、ほぼ収集可能であった。再入院となった急性前立腺炎の2例を見逃したが、この分析法では再入院症例の把握が不可能であった。【結論】今回の検討によりEファイル、Fファイルを用いて余分に費やされた医療費を解析することにより、バリアンス収集可能であることが明らかとなった。Eファイル、Fファイルを用い、バリアンスが発生していない基準症例を定めて、診療行為をベンチマークすることが可能になれば、バリアンス収集が可能になると考えた。