【背景】日帰り麻酔手術では適応対象が拡大している。それには患者・家族が、患者の健康は患者・家族で守るものと認識し、医療者から求められた健康管理を自己責任の下で遂行(遵守)することが重要であり、「医療の効率と質の向上」を図るクリニカルパスは不可欠である。今後、平均在院日数短縮の加速とともに、麻酔管理入院手術であっても手術当日入院が一般的になることが予想される。
【目的】日帰り麻酔術前のクリニカルパスの「安全・安楽」に関する看護評価基準を新たに設定してそのバリアンスを分析し、「麻酔管理術前の在宅管理」を視野に入れた日帰り麻酔術前患者の看護を考察する。
【調査】日帰り麻酔手術を予定し、術前電話訪問を行った成人・小児患者の380名を対象とし、3時点(麻酔科術前診察、術前電話訪問、手術当日術前診察)のアウトカム(3段階)と記録から、新たに設定した看護評価基準(5段階)で再数値化した。その結果、患者の半数近くが看護師介入、1割未満が複数医療者介入を予定外に必要とし、6名(2%)が手術を中止した。それらのバリアンスは身体的要因、患者の理解不足、患者の意思、社会的要因が主であった。
【考察】自宅で生活している患者を対象に、患者・家族が望めば、クリニカルパスを使ったタイムリーな介入により、安全・安楽な「麻酔科管理術前の在宅管理」は可能である。