【目的】当科では市中肺炎に対し、電子化クリニカルパスによる診療を行っている。今回、臨床指標にて肺炎診療の質および肺炎パスの有効性を評価し、パス改善の効果を検討した。
【方法】肺炎パスは2005年9月から12月にかけて市中肺炎、非定型肺炎、誤嚥性肺炎(軽症・中等症)、誤嚥性肺炎(重症)のユニット式パスを順次導入し、超重症を除く市中肺炎入院患者に適用した。肺炎臨床指標は、アウトカム指標として初期治療成功率、平均在院日数、肺炎死亡率、プロセス指標として肺炎パス適用率、肺炎起炎菌判明率を設定した。これらの指標に関して、当科の市中肺炎入院患者を対象に2005年4月から半期毎に集計解析を行い、肺炎パス診療の質およびパス改善の効果を評価した。
【結果】2005年4月から2007年9月まで半期毎の集計にて、パス適用率(4.6→61.4→91.3→94.1→96.1%)の上昇とともに初期治療成功率(80.0→83.3→83.7→82.2→87.5%)の向上を認め、平均在院日数においても短縮効果を認めた。肺炎起炎菌判明率は44%で、内訳は肺炎球菌が最多(44%)であった。起炎菌指標データに基づく新規パスの追加により、初期治療成功率と肺炎パス適用率のさらなる向上が認められ、肺炎死亡率も減少傾向で5%前後を推移している。
【結論】肺炎診療における臨床指標は、肺炎パス診療の有効性やパス改善効果の評価に有用であった。
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