日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
11 巻, 1 号
日本クリニカルパス学会誌
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
原著
  • 杉野 安輝 , 大田 亜希子, 加藤 誠章, 髙木 康之, 八木 文子, 藤井 美智子, 塚本 光子, 佐野 マスミ, 岡本 泰岳
    原稿種別: 原著
    2009 年 11 巻 1 号 p. 5-14
    発行日: 2009/02/20
    公開日: 2023/03/30
    ジャーナル フリー

     【目的】当科では市中肺炎に対し、電子化クリニカルパスによる診療を行っている。今回、臨床指標にて肺炎診療の質および肺炎パスの有効性を評価し、パス改善の効果を検討した。

     【方法】肺炎パスは2005年9月から12月にかけて市中肺炎、非定型肺炎、誤嚥性肺炎(軽症・中等症)、誤嚥性肺炎(重症)のユニット式パスを順次導入し、超重症を除く市中肺炎入院患者に適用した。肺炎臨床指標は、アウトカム指標として初期治療成功率、平均在院日数、肺炎死亡率、プロセス指標として肺炎パス適用率、肺炎起炎菌判明率を設定した。これらの指標に関して、当科の市中肺炎入院患者を対象に2005年4月から半期毎に集計解析を行い、肺炎パス診療の質およびパス改善の効果を評価した。

     【結果】2005年4月から2007年9月まで半期毎の集計にて、パス適用率(4.6→61.4→91.3→94.1→96.1%)の上昇とともに初期治療成功率(80.0→83.3→83.7→82.2→87.5%)の向上を認め、平均在院日数においても短縮効果を認めた。肺炎起炎菌判明率は44%で、内訳は肺炎球菌が最多(44%)であった。起炎菌指標データに基づく新規パスの追加により、初期治療成功率と肺炎パス適用率のさらなる向上が認められ、肺炎死亡率も減少傾向で5%前後を推移している。

     【結論】肺炎診療における臨床指標は、肺炎パス診療の有効性やパス改善効果の評価に有用であった。

  • 寺谷 愉利子
    原稿種別: 原著
    2009 年 11 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 2009/02/20
    公開日: 2023/03/30
    ジャーナル フリー

     【背景】日帰り麻酔手術では適応対象が拡大している。それには患者・家族が、患者の健康は患者・家族で守るものと認識し、医療者から求められた健康管理を自己責任の下で遂行(遵守)することが重要であり、「医療の効率と質の向上」を図るクリニカルパスは不可欠である。今後、平均在院日数短縮の加速とともに、麻酔管理入院手術であっても手術当日入院が一般的になることが予想される。

     【目的】日帰り麻酔術前のクリニカルパスの「安全・安楽」に関する看護評価基準を新たに設定してそのバリアンスを分析し、「麻酔管理術前の在宅管理」を視野に入れた日帰り麻酔術前患者の看護を考察する。

     【調査】日帰り麻酔手術を予定し、術前電話訪問を行った成人・小児患者の380名を対象とし、3時点(麻酔科術前診察、術前電話訪問、手術当日術前診察)のアウトカム(3段階)と記録から、新たに設定した看護評価基準(5段階)で再数値化した。その結果、患者の半数近くが看護師介入、1割未満が複数医療者介入を予定外に必要とし、6名(2%)が手術を中止した。それらのバリアンスは身体的要因、患者の理解不足、患者の意思、社会的要因が主であった。

     【考察】自宅で生活している患者を対象に、患者・家族が望めば、クリニカルパスを使ったタイムリーな介入により、安全・安楽な「麻酔科管理術前の在宅管理」は可能である。

実践報告
  • 一転倒転落後フローチャート・クリニカルパスを作成して一
    鈴木 幸子 , 内田 陽子, 松本 稔子, 近藤 理絵子
    原稿種別: 実践報告
    2009 年 11 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 2009/02/20
    公開日: 2023/03/30
    ジャーナル フリー

     院内における転倒転落関連の事例が後を絶たないのは、いずれの病院においても永遠の課題である。当院では、転倒転落後の対応や記録が十分になされておらず、転倒転落後の対策も病棟毎に任されているのが現状であった。もはや看護師だけの活動では転倒転落予防策、並びに転倒転落後の患者への的確な処置と、家族に対する説明責任が確実に果たせないことが明確となり、これらの状況を解決する必要があった。

     そこで、新たに転倒転落に関連する診療科の医師(整形外科・脳外科・精神科・リハビリテーション科)、薬剤師をメンバーに迎え、転倒転落関連医療安全対策チームを立ち上げた。先行研究を参考にしながら、当院独自の「転倒転落後フローチャート・クリニカルパス」を作成し、院内共通の対策ツールとして活用を可能にした。さらに、院内LANを通じた医療者間における情報の共有化も可能にした。

     今回、作成に至る経緯を交えながら、完成した「転倒転落後フローチャート・クリニカルパス」について紹介したい。

  • 藤原 琴, 亀本 浩司, 冨田 雅史, 新田 康晴
    原稿種別: 実践報告
    2009 年 11 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 2009/02/20
    公開日: 2023/03/30
    ジャーナル フリー

     当院では2003年9月よりNST委員会の活動を開始し、早期経腸栄養や早期PEGの導入が浸透しつつある。よりスムーズにPEGを実施するため、2003年にPEGクリニカルパス(PEGパス)を作成し、NSTが中心となり順次パスの改訂を進めていった。

     当初経腸栄養剤は医薬品のバッグタイプを使用していたが、2004年に食品のバッグタイプに切り替え、経済効果をもたらした。2005年にはパス委員会により、アウトカムが導入され、文字サイズが大きくなり、読みやすく運用しやすいものとなった。又、NSTチームによる胃瘻回診が開始となりスキントラブルが回避され、NST回診との合同ミーティングにより円滑な栄養管理が可能となった。2006年には欠乏症防止の観点からアミノフリード®をビタミンB1配合のビーフリード®へ変更し、誤嚥性肺炎防止のため液体経腸栄養剤の半固形化を試みた。さらに2007年2月に「薬剤簡易懸濁法」を導入することにより、薬剤が安全に投与できるようになり、業務の軽減に繋がった。

     NSTとして、より無菌的に工夫した薬剤や安全な投与法を導入し、PEGパスを修正することにより、PEG導入時に起こりうる合併症や経腸栄養剤による副作用を軽減し、患者のADL向上に繋ぐことができたと考える。

  • 澤田 重成
    原稿種別: 実践報告
    2009 年 11 巻 1 号 p. 37-40
    発行日: 2009/02/20
    公開日: 2023/03/30
    ジャーナル フリー

     当院は321床の公的・中核病院であり、2002年からクリニカルパスが導入された。2003年度の日本医療機能評価機構による指定病院化をめざし取り組みを開始していたが、その一環としてクリニカルパスの導入も目標とされていた。その後全国的にカルテの電子化が推進されていることに対応し、2006年6月からは電子カルテ(NEC社製HS-MI・RA・Is)が稼働し、同時に電子パスが開始された。紙パスの導入および電子カルテ、電子パス開始については病院主導で開始されたため、各診療科ではそれぞれの状況に応じて対応していた。その結果診療科によって状況がかなり異なり、職員の意識にもばらつきが生じた。近年のこのような体制の変化は日本の多くの病院で経験されていると思われるが、個々の病院にとり環境の変化に適応することはかなり困難である。今回当院では電子カルテと同時に電子パスが開始されたが、パスの電子化時の問題点を報告することにより、同規模の公立病院等の施設への情報となるとともに当院へも還元できると考え、今後の電子パス運用を進めるに当たり当面の問題点につき検討を加えた。

  • 一アンケート結果より検証一
    渡邉 まどか, 勝尾 信一, 吉江 由加里, 吹矢 三恵子, 角谷 文恵 , 酒井 敏秀, 山内 和彦, 二林 幸代, 北出 俊介
    原稿種別: 実践報告
    2009 年 11 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 2009/02/20
    公開日: 2023/03/30
    ジャーナル フリー

     当院では、クリニカルパスの普及およびチーム医療の促進を目的に、院外からの参加希望者も受け入れて2002年11月よりパス入門講座を開催している。このパス入門講座では、医師を含めた全職種を対象として、1泊2日の宿泊研修を行い、グループワークを中心としたパス作成の過程を経験してもらう。今回、過去10回の参加者アンケート結果に基づきパス入門講座の内容について検証した。アンケート内容は、講義とグループワークそれぞれに対する理解度や期待度、時間配分の妥当性に関するもの、パス入門講座に対する満足度、今後のパス作成への意欲である。アンケート結果より、全体評価としては現行の形式のまま継続開催すれば良いと考えるが、参加者の期待内容を把握し、更なる向上に努めていきたい。

学会報告(第9回学術集会)シンポジウム1 クリニカルパスと医療の質管理 ―パスで何が変わり、何が変わらなかったのか―
  • 嶋田 元
    原稿種別: 学会報告(第9回学術集会)シンポジウム1 クリニカルパスと医療の質管理
    2009 年 11 巻 1 号 p. 49-53
    発行日: 2009/02/20
    公開日: 2023/03/30
    ジャーナル フリー

     聖路加国際病院では1997年からパス活動を開始、2003年に電子パスを導入、現在250種類の電子パスを運用し、適用率は50%程度である。アウトカム・バリアンス分析からパスを見直すことは理想であるが、その労力は甚大で分析後の改訂にまで至らないことが多い。当院では電子カルテシステムのデータニ次利用で予定と実施の差分を可視化し、パスの問題点の認識とパスの改定促進を目的としたパスニ次利用データベースを稼働させた。このシステムを利用することによりパス作成者がより効率的にパスの問題点を認識できるようになった。しかし適用率から考えると入院患者の50%しか分析対象にならないことと、予定された医療行為や実施した医療行為がEBMに準拠しているかどうかがわからないことが新たな問題とされるようになった。そこで聖路加国際病院ではパスの評価に加え、包括的な医療の質の改善を目的としてQuality indicatorの算出と質レポートの公開を行ってきた。本稿ではその効果と今後の課題について報告する。

  • 一パスとDPCを利用した当院の取り組み一
    竹村 隆広 , 折井 こずえ, 登内 盛治, 務台 弘美
    原稿種別: 学会報告(第9回学術集会)シンポジウム1 クリニカルパスと医療の質管理
    2009 年 11 巻 1 号 p. 55-58
    発行日: 2009/02/20
    公開日: 2023/03/30
    ジャーナル フリー

     クリニカルパス(以下パス)はプロセスの質を管理し改善させる有用なツールであるが、多くの病院では従来の治療の標準化がなされたのみで、改善までは至っていないのが現状と考える。当院でのパスとDPCを利用した取り組みを報告する。第1として診療科に共通するプロセスをパス大会において標準化を試みた。パス委員会において標準化すべきプロセスを提示し、パス大会において参加者全員で検討を行った。この試みは、標準化や医療の質に対する職員の意識向上にも寄与した。次に、パス委員を中心としたメンバーと各診療科医師でベストプラクティスを目指したパスの再検討を行った。この際、EBM、ガイドラインの他にDPC分析ソフトを使用したベンチマークデータが有用であった。DPCデータを使用した診療プロセスの可視化はバリアンス分析と同様に今後パスの改善に有用であると考える。また、今後、臨床指標の測定等にもそのデータ使用は拡大するものと考える。一方、DPC分析は経営改善的判断に偏りやすい側面もあり、医療の質の基準をどのように測っていくかは今後の課題である。

  • 岡本 泰岳
    原稿種別: 学会報告(第9回学術集会)シンポジウム1 クリニカルパスと医療の質管理
    2009 年 11 巻 1 号 p. 59-62
    発行日: 2009/02/20
    公開日: 2023/03/30
    ジャーナル フリー

     健全な病院経営(組織運営)を継続させていくには、3つの視点に立脚したアウトカム、すなわち、①臨床(臨床成績、合併症)、②財務(収益、費用対効果など)、③満足度(患者・医療従事者双方)アウトカムをバランスよく高めていく必要がある。またこれには「質管理の3本柱(質保証、継続的改善、質測定)」に病院組織として取り組むことが欠かせないと考える。医療における質保証は、「患者に必要な当たり前の医療を的確に安全に実施する」ことであり、診療プロセスの標準化とその提供は欠かせない。質改善の手法には大別して、プロセスアプローチとアウトカムアプローチがある。それぞれクリニカルパスと臨床指標の活用がそれに相当する。両者の連携による質管理の実例(救急外来における急性心筋梗塞診療)を挙げて紹介する。クリニカルパスや臨床指標による質管理には、不向きな分野など限界や問題点がある。これらを解決し上手に使いこなすためには「人(教育)」と「環境(しくみ)」が必要である。質管理を組織的に効率良く継続していくのにTQM(Total Quality Management)の概念は有用である。TQMの概念を取り入れた質管理の組織体制・風土つくりへの取り組みも併せて紹介する。

  • 澤村 匡史
    原稿種別: 学会報告(第9回学術集会)シンポジウム1 クリニカルパスと医療の質管理
    2009 年 11 巻 1 号 p. 63-69
    発行日: 2009/02/20
    公開日: 2023/03/30
    ジャーナル フリー

     クリニカルパスの影響を証明しようとしたとき、プラセボのパスというものが存在し得ないのでバイアスを取りのぞくことができない。つまり、純粋にパスのみの影響を評価することは困難である。パス以外にも在院日数やコストに影響するであろうと考えられる因子は存在するはずである。実際、疾患によってはパスの使用率が低下しているにもかかわらず、平均在院日数も低下しているものがある。この現象を説明するとき、パスそのものではなくパス活動がもたらした影響を考える必要がある。例えばパス活動を行うことで、在院日数の短縮という意識がスタッフの中に定着し、パスを使う割合が減少しても在院日数が短縮した可能性がある。つまり、パス活動はスタッフの意識を変えたことになる。これをポストパス効果と名付ける。またパスの使用率が高い疾患と、低い疾患の違いを考えるとき、患者や疾患の多様性が影響していることが考えられる。特に疾患の面からのみ入院患者を分類することには無理があり、患者特性と疾患特性の関係によって診療は変化する。同じ疾患でも、患者の年齢や既往、ADLによって重症度が変わるはずであり、治療内容も変化するはずである。この関係を患者疾病連関と名付ける。これが多様であるほど、パスは使用し難いと考えられる。この患者疾病連関の多様さはパスでは変えられないものの一つである。疾病のみでなく患者要因にもアプローチすることが、質管理には重要な要素となっている。

  • 一クリニカルパスは医療の質の向上に貢献するのか一
    川渕 孝一
    原稿種別: 学会報告(第9回学術集会)シンポジウム1 クリニカルパスと医療の質管理
    2009 年 11 巻 1 号 p. 71-73
    発行日: 2009/02/20
    公開日: 2023/03/30
    ジャーナル フリー

     クリニカルパスの有用性が叫ばれて久しいが、その科学的根拠は必ずしも十分ではない。そこで厚生労働省が回収しているDPC関連データおよび「医療機能の評価に関するアンケート調査」結果を使って一定の定量分析を行ったところ、MRSAの解消にクリニカルパスが有効なことが示唆された。

学会報告(第9回学術集会)シンポジウム2 地域連携パスの現状と課題 ―地域における疾病管理と質向上への取り組み―
  • 石木 良治
    原稿種別: 学会報告(第9回学術集会)シンポジウム2 地域連携パスの現状と課題 ―地域における疾病管理と質向上への取り組み―
    2009 年 11 巻 1 号 p. 75-76
    発行日: 2009/02/20
    公開日: 2023/03/30
    ジャーナル フリー

     病状安定後の慢性循環器疾患に対して、地域診療所と病院が連携をとり治療に当たることは重要である。地域連携パスは、その重要なツールである。パスを使用することにより、治療スケジュールの可視化、ドロップアウト症例の撲滅など、様々なメリットがあげられる。これにより、地域全体の循環器診療のレベルアップに貢献できる。

  • ―救急外来における喘息発作マネジメント―
    堀江 健夫 , 矢冨 正清, 遠藤 克明, 滝瀬 淳, 稲澤 正士, 池谷 俊郎
    原稿種別: 学会報告(第9回学術集会)シンポジウム2 地域連携パスの現状と課題
    2009 年 11 巻 1 号 p. 77-79
    発行日: 2009/02/20
    公開日: 2023/03/30
    ジャーナル フリー

     気管支喘息は呼吸器疾患における代表的な慢性疾患の一つで、経過中に「喘息発作」と呼ばれる急性増悪を来す。本邦では年間約3000人が喘息発作にて死亡しており、「回避可能な死」とされる喘息死を減らすことを目指した総合対策「喘息死ゼロ作戦」が厚労省より示されている。

     急性増悪患者の主たるアクセス先である救急外来では、限られた医療資源を有効に活用し、初期治療後の患者を適切にフォローアップできる体制作りが求められる。当院では2003年より気管支喘息の地域診療連携システムの構築を進めており、喘息発作患者への対策として「ぜんそくカード」による救急外来へのアクセス、「気管支喘息発作救急外来パス」の導入受診時の適切な治療と導入受診後のフォローアップ体制の確立、引き続く「気管支喘息地域連携パス」による地域医療機関との連携を行っている。

     救急外来を中心とした喘息発作患者のアクセス確保、適切な介入とフォローアップを推進するシステム導入を行った。救急外来パスは慢性疾患における”acute on chronic”に有効であり、専門外来の地域連携パスとともに包括的地域連携体制の一翼を担う重要なツールである。

学会報告(第9回学術集会)シンポジウム3 がん診療と地域連携
  • 鳥羽 博明
    原稿種別: 学会報告(第9回学術集会)シンポジウム3 がん診療と地域連携
    2009 年 11 巻 1 号 p. 81-84
    発行日: 2009/02/20
    公開日: 2023/03/30
    ジャーナル フリー

     当科の肺がん術後病診連携パス(以下、連携パス)の現状と今後の展望について報告する。2006年8月~2008年4月までに手術を施行した99例を対象とした。男性61例、女性38例で、年齢は46~85歳(68.8±8.7歳)。転帰不明例と死亡例を除く93例のうち51例(55%)で病診連携ができた。外来担当医3名でややばらつきはあったものの StageIの早期症例で連携しやすい傾向にあった。バリアンスは3例(5.9%)に発症し、いずれも再発であったが、病診連携していたことで速やかに治療に移れた。病診連携できなかった理由として、他疾患でフォローされていた例が42例中16例(38%)と最も多かった。以上のことから、今後の課題として、病期別の連携パスや他科との横断的パスの作成が必要と考えられた。また、徳島県では県内統一の肺がん連携パスの作成をスタートさせており、その取り組みも始めている。

  • 里井 壯平, 宮崎 浩彰, 豊川 秀吉, 柳本 泰明, 道浦 拓, 井上 健太郎 , 北村 臣, 松井 陽一, 中根 恭司, 權 雅憲
    原稿種別: 学会報告(第9回学術集会)シンポジウム3 がん診療と地域連携
    2009 年 11 巻 1 号 p. 85-87
    発行日: 2009/02/20
    公開日: 2023/03/30
    ジャーナル フリー
  • 長島 敦, 江川 智久
    原稿種別: 学会報告(第9回学術集会)シンポジウム3 がん診療と地域連携
    2009 年 11 巻 1 号 p. 89-92
    発行日: 2009/02/20
    公開日: 2023/03/30
    ジャーナル フリー

     胃大腸がん術後地域連携クリニカルパスを地元医師会と共同で作成し実用化したので報告する。当院は横浜市神奈川区、鶴見区を主な医療圏とし、同区医師会と合同で消化器病勉強会を開催している。その中で病院、医師会双方が意見を出し合い納得の上で連携パスを作成した。原案は病院側が作成したが、連携先の視点に立ち実用性を最優先した。その結果ステージ別ではなく、抗がん剤投与形式別に胃大腸それぞれ3種類のパスを作成した。Aは抗がん剤投与なし、BはUFT単剤、CはTS1またはUFT/UZELを投与するものとした。病院では6ヶ月ごとの画像検査と診察、連携先ではその間の診察・採血・投薬を行うこととした。この原案を勉強会で議論し、医師会側の意見を可及的に取り入れて最終形のパスとした。次にアンケート調査を行い、連携パス参加への意思を確認した。神奈川区・鶴見区・港北区内で300施設にアンケートを行い、155施設から回答を得た。155施設中127施設でパスの参加希望があった。この127施設を連携登録施設として、2008年1月より登録を開始し、現在まで109例登録した。施設数は46施設であった。胃Aが48例28施設、胃Bが3例3施設、胃Cが5例5施設、大腸Aが39例22施設、大腸Bが13例10施設、大腸Cが1例1施設であった。再発で脱落が1例、肝機能障害で中断が1例あるが、運用開始から約1年経過した現在まで連携で問題が生じた症例はない。

学会報告(第9回学術集会)ワークショップ6 地域連携会議の構築
  • 高橋 健 , 広瀬 洋, 小林 成禎, 川口 雅裕, 白鳥 義宗 , 松波 和寿, 冨田 栄一
    原稿種別: 学会報告(第9回学術集会)ワークショップ6 地域連携会議の構築
    2009 年 11 巻 1 号 p. 93-96
    発行日: 2009/02/20
    公開日: 2023/03/30
    ジャーナル フリー

     岐阜地域は基幹病院が複数設置される人口約80万人の2次医療圏である。この医療圏で平成18年に、まず岐阜市において統一の連携パスを作成し運用することを目的として、医師会と病院連携実務者を中心に連携ネットワークを構築し、専門医グループの参加を得てウイルス性肝炎と急性心筋梗塞連携パスのワーキンググループ(WG)を立ち上げた。平成19年に両連携パスの運用を開始し、また、大腿骨頚部骨折と脳卒中連携パスWGが加わった。平成20年には泌尿器疾患連携パスWGが参加し、連携ネットワークを岐阜地域6医師会に拡大、全体を「岐阜地域医師会連携パス機構」として統括し、多疾患の地域内統一連携パス運用を開始した。さらに岐阜地域の3がん診療連携拠点病院を中心に、5大がんの統一連携パス作成が始まり、「同機構」で運用予定である。各連携パスWGは病院専門医、専門スタッフ、かかりつけ医、医師会役員、および連携部門スタッフから構成されており、連携パスの作成や更新を行う。連携ネットワークは各病院連携部門が参加する「岐阜地域医療連携室実務者連絡会(れんげ会)」が担当する。連携パス適用患者は各病院連携部門で登録、受診状況がモニターされ、定期的に地域全体の運用データが集計される。各WGの独自性を尊重しつつ統一規格を維持するために「同機構」各部門代表による「連携パス運営委員会」が設置され、連携パスの円滑な展開が図られている。

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