日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
学会報告(第9回学術集会)シンポジウム1 クリニカルパスと医療の質管理 ―パスで何が変わり、何が変わらなかったのか―
医療の質管理
一パスとDPCを利用した当院の取り組み一
竹村 隆広折井 こずえ登内 盛治務台 弘美
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 11 巻 1 号 p. 55-58

詳細
抄録

 クリニカルパス(以下パス)はプロセスの質を管理し改善させる有用なツールであるが、多くの病院では従来の治療の標準化がなされたのみで、改善までは至っていないのが現状と考える。当院でのパスとDPCを利用した取り組みを報告する。第1として診療科に共通するプロセスをパス大会において標準化を試みた。パス委員会において標準化すべきプロセスを提示し、パス大会において参加者全員で検討を行った。この試みは、標準化や医療の質に対する職員の意識向上にも寄与した。次に、パス委員を中心としたメンバーと各診療科医師でベストプラクティスを目指したパスの再検討を行った。この際、EBM、ガイドラインの他にDPC分析ソフトを使用したベンチマークデータが有用であった。DPCデータを使用した診療プロセスの可視化はバリアンス分析と同様に今後パスの改善に有用であると考える。また、今後、臨床指標の測定等にもそのデータ使用は拡大するものと考える。一方、DPC分析は経営改善的判断に偏りやすい側面もあり、医療の質の基準をどのように測っていくかは今後の課題である。

著者関連情報
© 2009 一般社団法人日本クリニカルパス学会
前の記事 次の記事
feedback
Top