日本クリニカルパス学会誌
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学会報告(第9回学術集会)シンポジウム1 クリニカルパスと医療の質管理 ―パスで何が変わり、何が変わらなかったのか―
プロセスアプローチとアウトカムアプローチの連携による医療の質管理
岡本 泰岳
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2009 年 11 巻 1 号 p. 59-62

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抄録

 健全な病院経営(組織運営)を継続させていくには、3つの視点に立脚したアウトカム、すなわち、①臨床(臨床成績、合併症)、②財務(収益、費用対効果など)、③満足度(患者・医療従事者双方)アウトカムをバランスよく高めていく必要がある。またこれには「質管理の3本柱(質保証、継続的改善、質測定)」に病院組織として取り組むことが欠かせないと考える。医療における質保証は、「患者に必要な当たり前の医療を的確に安全に実施する」ことであり、診療プロセスの標準化とその提供は欠かせない。質改善の手法には大別して、プロセスアプローチとアウトカムアプローチがある。それぞれクリニカルパスと臨床指標の活用がそれに相当する。両者の連携による質管理の実例(救急外来における急性心筋梗塞診療)を挙げて紹介する。クリニカルパスや臨床指標による質管理には、不向きな分野など限界や問題点がある。これらを解決し上手に使いこなすためには「人(教育)」と「環境(しくみ)」が必要である。質管理を組織的に効率良く継続していくのにTQM(Total Quality Management)の概念は有用である。TQMの概念を取り入れた質管理の組織体制・風土つくりへの取り組みも併せて紹介する。

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© 2009 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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