日本クリニカルパス学会誌
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学会報告(第9回学術集会)パネルディスカッション2 電子カルテ・電子パスの功罪
電子クリニカルパスの運用について
杉田 登子
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2009 年 11 巻 2 号 p. 179-182

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抄録

 1989年よりシステムの中心にナビゲーションケアマップ(Navigation Care Map,以下NCMという)を中心に、診療プロセスの管理を行う機能を持たせた統合医療情報システムの開発に着手し、1995年亀田クリニックオープンをきっかけに電子カルテとしてその運用を推進してきた。診療プロセス管理はまさにクリニカルパスそのものである。よって病院の方針も電子カルテのNCMを使用することでクリニカルパスの作成及び運用を進める方針が出された。

 紙でのクリニカルパスを作成したことのない病院での電子クリニカルパスの作成・運用することは様々な困難をきたした。臨床側はシステムの未熟を理由に運用できない状況になり、開発側は臨床で使ってもらわないことには開発のしようがないという問題を抱えていた。そのためにごく限られた診療科での運用にとどまっていた。できるだけ多くの診療科でクリニカルパスの運用を推進するために、2006年に仕切り直し、紙でクリニカルパスを作成することから再スタートをした。ところが、既に臨床では電子カルテ運用が定着しており、院内のどこからでもアクセスできることで職種間を越えて情報を共有して医療を提供することが当たり前になっている状態であり、情報の共有ができないパスの運用は受け入れられない状況があった。そこで、紙のクリニカルパスをPDFファイルに変換(以下PDFパスという)し管理することで電子化を図り、PDFパスを使用することでNCMとの共有をし、運用に至った経緯を報告する。

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© 2009 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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