2009 年 11 巻 2 号 p. 193-196
【はじめに】当院は富山県がん診療連携拠点病院の指定を受けているが、その一方で3次救命救急センターを有する810床を有する急性期病院である。医療安全の見地から、各診療科外来で個別に化学療法を施行している体制を見直し、通院治療室で統一して管理して化学療法の標準化を目指した。【外来化学療法】各診療科の受診前に通院治療室にて看護師が通院患者の副作用をグレーディング評価するシステムや、すべての化学療法を薬剤師が安全キャビネットで調剤するシステムに移行した。【がん化学療法標準化】がん化学療法レジメン審査小委員会を立ち上げて診療科を超えて癌種別にレジメンを統一し、American Society Clinical OncologyやNational Comprehensive Cancer Networkの基準に基づいたステロイド量・制吐剤への変更、化学療法終了後に洗い流し用生食をレジメンに組み込むなどの介入もした。また、paclitaxel/carboplatin併用療法では、投与スケジュールを統一したレジメンを作成し、癌種を超えて標準化を進めた。【安全性確立】すべてのレジメンを電子カルテ上に登録し、適切な休薬期間と投与量でのみ使用できるシステムとした。また、化学療法クリニカルパスは当院で既動しているモジュール型Add-onパスから作成し、体重評価時の利尿剤投与と副作用対策指示を統一した。そのパス内には看護師の観察項目も定義され看護の統一が図られている。さらに院内全体のがん化学療法マニュアルを作成し、抗がん剤漏出時対策と副作用対策も統一してクリニカルパスにAdd-onできるように組み込み、職種の職務範囲を明確化した。【まとめ】外来化学療法室の設立を機会にして院内の様々なシステムを整備し、診療科や癌腫を超えて標準化・安全性確立を進めることができた。