日本クリニカルパス学会誌
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学会報告(第9回学術集会)ワークショップ3 いまさら聞けないクリニカルパスの疑問
ベンチマーキングの実際
安東 立正
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2009 年 11 巻 2 号 p. 217-221

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抄録

 ベンチマーキングは日本で品質改善のツールとして開発され、アメリカの会社によって紹介、導入され、評価発展していった代表的な経営手法の一つである。これはベストなものとの比較を行うことによりそのギャップを埋め、現状を改善する手段である。一般企業が質の向上を目指して採用するこの手法が、医療の質の改善にも有効な手法となりうる。クリニカルパス(以下パス)でいえば、各施設のパスを比較検討し、ベストなパスを作成実践していくための手段と言える。当院の公開パス大会で行った結腸切除術パスと帝王切開術パスのベンチマーキングの実際を述べる。それぞれベンチマーキングを行うことにより、自施設のみでは気づかない点を指摘し合うことが出来、食事の開始時期や処置、観察項目について再考を要することが判明した。このベンチマーキングをふまえて当院のパスの改訂を行った。ベンチマーキングはそれを行ったというだけで終わらせずに、パスの改訂を目指すことが重要である。また、ベンチマーキングの本質はベストとの比較、改善であり、コピー、簡単な手直し、アイデアの盗作でないことも理解する必要がある。

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© 2009 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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