2009 年 11 巻 3 号 p. 273-282
喘息診療における基幹病院とかかりつけ医間の病診連携ツールとして、喘息コントロールテスト(ACT)を用いた喘息地域連携パスを愛知県豊田地区において導入したので、その経緯と現状を報告する。まず院内で医師、看護師、薬剤師など多職種による喘息連携パス作成チームを立ち上げ、連携パスのプロトタイプを作成した。その後、喘息地域連携会議で連携パスを最終調整し、2008年10月に本格運用を開始した。連携パスの喘息コントロール指標には、かかりつけ医や患者による喘息症状評価が簡便に行えるACTを採用した。連携パスの適用基準は、外来で症状コントロール可能な喘息患者とし、ACT ≧ 20点かつピークフロー値≧80%を2回以上連続して達成した場合にかかりつけ医へ紹介とした。適用期間は紹介後1年間である。かかりつけ医での治療目標もACT ≧ 20点の継続とし、喘息診療ガイドラインとACTに基づく診療フローチャートにて喘息治療の標準化をはかった。また、患者用パスや喘息指導内容を包括的にまとめた「ぜんそく手帳」を作成し患者指導に利用した。これまで連携パスの適用は9例であり、かかりつけ医へ紹介後半年を経過した4例中2例では連携パスによる治療が継続されており、喘息コントロールもACT24〜25点と良好であった。今後は連携パスの地域浸透をはかるとともに、パス適用例のデータを蓄積し、パスの評価と改善を定期的に実施していく予定である。