2010 年 12 巻 1 号 p. 44-47
当院では、電子パスが稼働後、2年ほどが経ち、2009年7月より電子パスや経過観察表の現状分析をもとに、電子パスの構造(オーバービュー・指示実施・経過観察表の棲み分け)と構造マスター・オーダーマスター・観察項目マスターなどを精査し、診療プロセスの進化に伴ったパスの更新に対して、遅延なく電子パス構造や各種マスターも更新できるよう、運用体制の整備やシステム仕様の設計を行っているので、報告させて頂く。
外科系パスに比して、内科系パスはアウトカムの設定やアセスメント項目が多種多様と複雑な点も多く、特にがん薬物療法では、アウトカムの設定で副作用が密に関連し、また、患者状態に応じて、頻繁に内容が変更されるため、作り込みもさることながら、パスの運用も複雑と言われている。しかし、視点を変えれば、電子パスの強みを最大限に活かせる領域とも考えられる。
当院の取り組みを本稿で紹介させて頂くことで、臨床試験から標準療法まで様々な診療プロセスが稼働しているがん薬物療法の領域で、定期的にパス構造やマスターの総入れ換えが必要となるような断続的な構造ではなく、診療の変化に柔軟に適応できる継続的な電子パス仕様の検討の参考になれば幸いである。