2010 年 12 巻 3 号 p. 192-198
外来慢性疾患患者の診療支援の端緒となるべく、肝細胞癌の危険群である慢性肝炎患者の年間検査計画を立てた外来クリニカルパスを作成した。当院で外来経過観察されている肝細胞癌超高危険群患者56例を対象に外来パス適用群(n=24)、非適用群(n=32)間の検査回数、診療報酬について比較検討を行った。腹部超音波および上部消化管内視鏡検査回数に関しては、外来パス適用群で目標年間施行回数が達成されていた。腫瘍マーカー、MRIおよび診療報酬については、非適用群でばらつきが目立ち、過剰検査が行われている傾向にあると考えられた。今回作成した慢性肝疾患を対象とした外来クリニカルパスを適用することにより、年間の検査漏れや過剰検査が減少し、肝細胞癌の早期発見に寄与することが期待された。また年間診療報酬の平均化がはかられ、医療経済的にも効果があると考えられた。