2012 年 14 巻 1 号 p. 11-15
当院の回復期リハビリテーション病棟では、2007年から脳卒中に対してクリニカルパスを導入している。当院のクリニカルパスは、歩行の予後予測に基づいて屋外歩行自立、屋内歩行自立、歩行・車いす併用、車いすの4コースで構成している。クリニカルパスのさらなる活用に向け、その導入効果を検証した。結果、クリニカルパス導入前に比べて導入後は患者のADL能力や麻痺の程度、年齢、認知能力に差はなかったが、在院日数のみが有意に短縮していた。また、バリアンス分析では、多くはコースごとの移動目標を達成していたが期間目標はほとんど達成されなかった。その原因の大半は患者の能力の改善の遅れであった。その分析結果を参考にしてクリニカルパスの改訂を行った。改訂では、クリニカルパスの使用期間の再設定や、コース分類のための予後予測の見直しを行った。今後の課題は、①予後予測について定期的にバリアンス分析をしながら予測の精度を確認すること、②適切な入院期間をどう設定するか、③現在はまだ初発患者に限られている院内クリニカルパスの適応をさらに広げることである。