2012 年 14 巻 1 号 p. 16-21
DPC対象病院において持参薬の有効活用は必須であるが、持参薬使用に伴うトラブル発生が問題となるため、当院では持参薬管理センターを開設し、クリニカルパスの工程に面談を組み入れ、休薬ミス、重複投与等の防止を図った。今回は持参薬面談数の多い1病棟における持参薬使用による経済効果について報告する。平成22年6月当院産婦人科、耳鼻咽喉科、眼科の混合病棟の入院患者163名を調査対象とした。持参薬鑑別報告書の薬剤情報を基に、持参薬のある患者の持ち込み平均金額および1日当たりの平均金額を調査し、当病棟の持参薬総額を算出した。薬品金額はすべて薬価を用いた。持参薬総額は105,888.8円で、持参薬総額を入院延べ日数1,494日で割った平均持参薬金額は持参薬ありの患者数では192.9円、持参薬管理センター面談患者では104.1円であった。6月の持参薬総額から年間の予想持参薬総額は1,288,313.1円と算出された。持参薬面談のなかった患者も持参薬を使用した場合の予想持参薬総額は1,892,567.6円であった。外来診察日に持参薬管理センターの面談をクリニカルパスの工程に組み入れ、標準化したこともあり、年間約130~190万円の経済効果が推計された。持参薬という医療資源を有効に活用することで、施設単位の経済性および社会全体の医療経済面に大きく貢献が期待される。