医療の質を高め、ベストプラクティスに近づけるためにはバリアンス分析が必要である。DPCデータから診療情報を分析してバリアンス収集が可能かどうかを検討したので報告する。
方法:前立腺癌に対する前立腺全摘術32例を対象とした。MEDI-ARROWSを用いてDPCデータのEファイル「診療明細情報」、Fファイル「行為明細情報」の情報を用いて検討した。行為回数分析でデータを収集した後に、基準症例と各症例を比較することにより、パスで示された診療行為以外に行った診療行為を収集した。次に症例毎に、時系列データを加えた詳細パス画面を作成し分析した。
結果:これらの分析で診療行為の詳細な情報を時系列で把握することが可能であった。基準症例との比較により132回の診療行為バリアンスが収集された。さらに診療記録の内容を参考に、1. 術後膀胱内出血、2. 直腸損傷、3. 再縫合の3つの合併症が抽出可能であった。
結論:DPCデータを用いることにより大量の医療行為に関わるデータを効率よく処理可能であり、クリニカルパスをDPCと組み合わせることで、個々の症例がパスで示されているプロセスで診療行為を受けたのかどうかを解析可能であった。