日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
原著
当院におけるDPC導入前後の肺炎球菌性肺炎診療報酬の推移
瓜生 恭章西浦 哲史山本 朋納馬越 泰生西田 美帆鈴木 美絵子小西 千尋松浦 暢子峰 睦子酒井 敬原田 博雅
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2012 年 14 巻 2 号 p. 113-121

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抄録

 DPC(Diagnosis Procedure Combination)が2006年6月に当院で導入されたのに伴い、診療報酬の減少が予想された。今回当院における肺炎球菌性肺炎入院患者のDPC導入前後における診療報酬の検討を行ったため報告する。入院期間、抗菌薬を変更した156種類の電子化クリニカルパス(e-CP)を作成しDPCと出来高算定の診療報酬を比較した。2004年10月~2010年3月に肺炎球菌性肺炎と診断された349例をA群:出来高期、B群:DPC改定前、C群:DPC改定後に分類、また肺炎球菌のペニシリン耐性度で各群を分類し診療報酬の比較検討を行った。e-CPを使ったシミュレーションではDPC導入群で診療報酬の減少が認められ、DPC改定後さらに減少することが予想された。実際の入院患者で算定した診療報酬は、B、C群でDPCが出来高算定を上回る結果が得られた。一方、肺炎球菌の耐性化による診療報酬の変化は認められなかった。DPC導入後、診療報酬の増加の理由として副傷病名の追加、病名が肺炎からより高額なDPC病名へ変更されたことおよび抗菌薬費用の減少が関与したと考えられた。

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© 2012 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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