日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
実践報告
急性心筋梗塞における短期入院クリニカルパスの安全性と有効性
宮坂 萌生水野 篤戸田 浩子高橋 梨紗中村 加奈子山崎 麻里衣尾関 理恵岡村 大介
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 14 巻 2 号 p. 136-140

詳細
抄録

 当院では、2007年11月から急性心筋梗塞患者に対して、短期入院クリニカルパスの運用を開始した(5日間、7日間パスの2種類)。パス適応患者の臨床経過の評価を目的として、2007年11月〜2010年10月に当院入院の急性心筋梗塞患者253名中のパス適応者176名を対象とし、基礎情報、患者教育施行数、心機能評価施行数、臨床経過について過去の記録から後ろ向きに解析・検討を行った。退院延期症例が70%を占めたが、多くは検査や患者教育、外来心臓リハビリのオリエンテーションなどのマイナーバリアンスであり、退院延期日数は平均1日であった。入院中死亡は1名(0.6%)、30日以内死亡は2名(1.2%)であり、クリニカルパス導入での安全性の問題はほとんどないと考えられた。患者教育、心機能評価施行数については5日間パスと7日間パス両群で十分に行われていた。以上より、短期入院クリニカルパスは安全に患者教育まで行えることが示された。今後、よりエビデンスに基づいた安全性の高い、実践的なクリニカルパスを作成していく必要がある。

著者関連情報
© 2012 一般社団法人日本クリニカルパス学会
前の記事 次の記事
feedback
Top