2012 年 14 巻 3 号 p. 215-217
欧米では10年以上前に前立腺全摘除術で翌日退院の報告があるが、本邦の2007年度4,030例の解析では前立腺全摘後の入院期間が約2週間であったと報告されている。
当院で前立腺全摘除術を行った前立腺癌患者43例を対象とし早期退院可能であるかどうかを検討した
術翌日に食事、ドレーン抜去、2日目にシャワー浴ができなかったのは、直腸損傷の1例のみであり、残りの42例(97.6%)は可能であった。術後7日目退院可能であった患者は43例中40例(93.0%)であり、退院延期した例は、直腸損傷1例、尿道膀胱吻合不全2例であった。食事、ドレーン抜去、シャワー浴が可能となれば退院可能と思われた。術後24時間目以降に尿道カテーテル管理以外の処置が必要なく日常生活が可能であった43例中40例(93.0%)は尿道カテーテル留置のままであれば術翌日には退院可能と思われた。
今回の検討から、合併症が生じた症例ではドレーン抜去、尿道カテーテル抜去が遅れ、その結果退院が延びている。したがって、合併症のない手術を施行すれば、すなわち、バリアンスなく経過すれば、入院期間が短縮されることが実証された。