日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
実践報告
慢性心不全急性増悪に対するクリニカルパス導入効果の検証
吉田 博之皿澤 克彦榊原 圭一坪川 俊成坪川 明義
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2013 年 15 巻 2 号 p. 93-96

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抄録

背景:慢性心不全の再入院率は高く、病院間でも異なっている。その理由として、慢性心不全患者に共通のアプローチが存在せず、アウトカム評価もなされていないことが挙げられる。

目的:クリニカルパスの導入により、慢性心不全急性増悪患者のアウトカムが改善されるか否かを検討する。

方法:2009年9月~2012年8月に当科一般病棟に入院した慢性心不全急性増悪患者を、パス導入前後で比較した。プロセス指標としてβ遮断薬処方、ACEI/ARB処方、UCG、ホルター、BNP、全リハビリ、心臓リハビリ、服薬指導、栄養指導の実施率、アウトカム指標として院内死亡率、30日以内の再入院率、180日以内の再入院率を設定した。

結果:パス導入前49例、導入後132例で、平均年齢、在院日数は類似していた。内服処方、退院時体重測定、栄養指導の実施率は有意差を認めなかった。各種検査、服薬指導、リハビリの実施率は有意に向上した(p<0.001)。院内死亡率(12.2% vs. 4.5%, p=0.064)、30日以内の再入院率(4.1% vs. 1.5%, p=0.297)は減少したが有意差はなかった。180日以内の再入院率(20.4% vs. 6.9%, p=0.008)は有意に改善した。

結語:クリニカルパスの導入により、諸検査やリハビリ、服薬指導の実施率は向上した。その結果、180日以内の再入院率は減少しアウトカムは改善した。

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© 2013 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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