日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
15 巻, 2 号
日本クリニカルパス学会誌 第15巻 第2号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
実践報告
  • 吉田 博之, 皿澤 克彦, 榊原 圭一, 坪川 俊成, 坪川 明義
    2013 年15 巻2 号 p. 93-96
    発行日: 2013/06/28
    公開日: 2021/09/30
    ジャーナル フリー

    背景:慢性心不全の再入院率は高く、病院間でも異なっている。その理由として、慢性心不全患者に共通のアプローチが存在せず、アウトカム評価もなされていないことが挙げられる。

    目的:クリニカルパスの導入により、慢性心不全急性増悪患者のアウトカムが改善されるか否かを検討する。

    方法:2009年9月~2012年8月に当科一般病棟に入院した慢性心不全急性増悪患者を、パス導入前後で比較した。プロセス指標としてβ遮断薬処方、ACEI/ARB処方、UCG、ホルター、BNP、全リハビリ、心臓リハビリ、服薬指導、栄養指導の実施率、アウトカム指標として院内死亡率、30日以内の再入院率、180日以内の再入院率を設定した。

    結果:パス導入前49例、導入後132例で、平均年齢、在院日数は類似していた。内服処方、退院時体重測定、栄養指導の実施率は有意差を認めなかった。各種検査、服薬指導、リハビリの実施率は有意に向上した(p<0.001)。院内死亡率(12.2% vs. 4.5%, p=0.064)、30日以内の再入院率(4.1% vs. 1.5%, p=0.297)は減少したが有意差はなかった。180日以内の再入院率(20.4% vs. 6.9%, p=0.008)は有意に改善した。

    結語:クリニカルパスの導入により、諸検査やリハビリ、服薬指導の実施率は向上した。その結果、180日以内の再入院率は減少しアウトカムは改善した。

  • -進行がん患者の症状緩和と心のケア-
    森 智美, 永守 晃子, 長戸 陽子, 小柴 幸代, 片口 明美, 四十田 真理子, 堀田 洋介, 臼田 和生
    2013 年15 巻2 号 p. 97-101
    発行日: 2013/06/28
    公開日: 2021/09/30
    ジャーナル フリー

     消化器内科病棟には多くの終末期や治療中の進行がん患者がおり、がん性疼痛や化学療法の副作用など様々な苦痛を有しているが、急性期の一般病棟では患者・家族にじっくり寄り添い、症状緩和や心のケアを十分に行うことが困難な現状がある。そこで早期から症状緩和のための介入ができるよう、消化器がん患者に多くみられる「疼痛」「嘔気」「せん妄」の症状別に各種治療パスと併用できるようアドオンパスを作成した。「疼痛」のモジュールでは、WHO除痛ラダーをもとに鎮痛剤投与の標準化が図れるよう必要な観察項目を設定し、痛みのアセスメントシートを記載することで、統一した観察・看護ケアができるようにした。また、「嘔気」「せん妄」のモジュールでは内服薬と点滴薬が選択できる指示簿を作成し、早期に症状を緩和できるようにした。看護ケアとしては「嘔気」モジュールでは口腔ケアや環境整備など、「せん妄」モジュールでは安全確保や家族の精神的支援などができるようケア項目を設定し統一したケアが実施できるようにした。転帰として「退院・転院」「PCU転棟」「終末期(看取り)」のモジュールを作成し、患者・家族の精神的支援の充実を図った。「終末期」のモジュールではリバプールケアパスウェイの初期アセスメントを導入し、必要なケアや不足している指示について確認できるようにした。パスの導入により統一した看護ケアが早期から可能となり、患者・家族の精神的支援の強化につながった。パスの導入により、諸検査やリハビリ、服薬指導の実施率は向上した。その結果、180日以内の再入院率は減少しアウトカムは改善した。

  • 杉本 典子, 斉藤 明子, 小野 笑佳, 梶浦 優子, 的場 佳子, 中村 恵二, 川原田 陽, 奥芝 俊一
    2013 年15 巻2 号 p. 102-106
    発行日: 2013/06/28
    公開日: 2021/09/30
    ジャーナル フリー

    目的:他職種との連携を図りながら、食道癌患者の在宅での術前呼吸リハビリを充実するためのシステムを構築し、術後呼吸器合併症予防につながるかを検討する。

    対象と方法:システム構築前の20症例(1群)と構築後の9症例(2群)に分け、オールバリアンス法を用いてバリアンスの分析を行った。外来・理学療法室・病棟が連携してパンフレットの作成とパスの見直し、在宅でのチェックシステムを構築した。システムの稼働前後のパス離脱、バリアンスを比較してその効果を検討した。

    結果:SpO2 低下は1群(18%)より2群(27%)に多く発生した。術後呼吸器合併症は1群5症例(25%)、2群0症例(0%)と低下していた。入院まで2症例が喫煙を続けていた。

    結論:食道癌手術における術前呼吸リハビリの改善を行った結果、呼吸器合併症の発生予防につながった。9症例中6症例に術前呼吸リハビリの再指導を行い、全症例に入院時まで継続が確認できた。

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