2014 年 16 巻 1 号 p. 5-10
緒言・目的:当院では、低リスクの急性心筋梗塞(以下、AMI)患者に対する早期退院クリニカルパス(以下、パス)導入に向け、エビデンスに基づいた適切な適応基準の設定が不可欠であると思い至った。そこで、すでに海外で報告されているリスクスコアの予後予測能力を検討し、パスの適用基準として適切であるかを検討することを目的とした。
対象および方法:2007年11月から2010年10月までに当院入院となったAMI患者全237名を対象とし、過去の患者記録から基礎情報、臨床経過を抽出し、Cadillac risk score(以下、Cadillac)とZwolle risk score(以下、Zwolle)にて層別化を行った。各リスクスコアで低リスクと同定された者の30日後/1年後死亡についてROC曲線を用いて比較した。
結果:低リスク群はCadillac 36%、Zwolle 65%であった。これらの群における30日後/1年死亡率はそれぞれCadillac 0%/0%、Zwolle 2.6%/5.8%、AUCはCadillac 0.856/0.812、Zwoolle 0.776/0.734であった。また、Cadillac で低リスクと判定された者の在院日数は7.2±2.5日で、79名がパスを適応されていた。
まとめ:AMI患者の層別化にはCadillacが予後予測指標として有用であり、早期退院パスの適用基準として適切である。