目的:当院はケアミックス型病院の強みを生かして急性期リハビリテーションを含めた積極的な脳梗塞診療を展開している。病型毎に分類した3種類の急性期脳梗塞パスを利用しているが、設定在院日数を超過する率が高い。超過症例のバリアンス検討を通して現行パスの問題点を考察した。
方法:対象は平成22年4月~平成23年9月の急性期脳梗塞パス使用256例。設定在院日数を超過する率が高いアテローム血栓性脳梗塞対象のBパスと心原性脳塞栓症対象のCパスについて、重症度毎に層別し超過率・超過の要因・超過症例の転帰を検討した。
結果:設定在院日数の超過率についてBパスは重症度毎の差が小さいが、Cパスは軽症・中等症で超過率が低く重症は89%と高かった。超過症例のバリアンスに患者要因が占める割合はBパス全体で38%、Cパスは軽症で29%だが中等症・重症は6割を超えた。超過症例の転帰は、自宅退院がBパスで軽症中等症の39%、重症でも20%を占めたが、Cパスは軽症で57%に対し中等症・重症は0%。回復期病床転床はCパス軽症を除き両パスいずれの重症度も4割以上を占めた。
結論:病型毎に分類した現行パスを重症度毎に分けて検討したことでパス利用症例の特徴や現行パスの問題点が明確となり、パス改訂の方向性が定まった。ケアミックス型病院で急性期脳梗塞クリニカルパスを作成する際には長期的な視点を持ち、重症度を加味し、リハビリテーション期間を見据えた在院日数設定が必要である。
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