2014 年 16 巻 2 号 p. 153-159
大腿骨頚部/転子部骨折に対し、院内完結型で、入院期間と退院アウトカムが対象患者によって変動するクリニカルパスを作成した。標準入院期間は年齢、介護認定の有無、骨折型により21 ~77日で設定した。受傷前歩行能力と認知症の程度により最終目標歩行能力を予測するツールも作成した。その予測結果は入院時に患者および家族へ渡して説明し、退院に向けての準備を促している。リハビリの進行程度を他職種のスタッフが共有しやすいように、これまで文章での記録であった歩行能力をグラフ化して視覚的に理解できるツールも合わせて作成し、クリニカルパスへ組み込んで使用している。
当院に電子カルテが導入された平成25年4月から運用を開始し、半年間使用した結果では退院時ADL予測的中率は63%、歩行能力再獲得率は67%であった。亜急性期病床へ転棟する際の入院期間設定や、家族説明の場面で利用できている。在院期間などの効果については今後の検討次第である。