日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
実践報告
アルコール依存症教育入院クリニカルパスの効用に関する考察
−医師、看護師へのアンケートおよび患者インタビュー調査から−
鈴木 恵美子
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2015 年 17 巻 2 号 p. 130-136

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抄録

 神奈川県立精神医療センターせりがや病院では、アルコール依存症教育入院の患者に対し、クリニカルパス(以下、パス)を導入した。今後のパス改善の示唆を得るため、医師・看護師へのアンケート、患者インタビューを実施したため報告する。

 医師・看護師へのアンケートでは、医療者用パスが患者の現在の状態や治療段階を把握しやすくし、患者理解に役立っていることがわかった。患者へのインタビューでは、パスは治療段階を理解するのに役立てられ、不安を取り除くこともあったとされた。しかし、パスの使用で明確に治療意欲が変化したり、主体的に臨めるようになったかという点はわからなかった。依存症治療は、治療プログラムの進行と本人の回復が同時進行するとは限らず、病識や社会環境などによっても病状が変わるため、個別的なケアが必須となる。パスを導入し、ARP参加などのチェックを簡便化することで、個別ケアをより重視した看護が行えるよう期待したい。

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© 2015 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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