2015 年 17 巻 2 号 p. 130-136
神奈川県立精神医療センターせりがや病院では、アルコール依存症教育入院の患者に対し、クリニカルパス(以下、パス)を導入した。今後のパス改善の示唆を得るため、医師・看護師へのアンケート、患者インタビューを実施したため報告する。
医師・看護師へのアンケートでは、医療者用パスが患者の現在の状態や治療段階を把握しやすくし、患者理解に役立っていることがわかった。患者へのインタビューでは、パスは治療段階を理解するのに役立てられ、不安を取り除くこともあったとされた。しかし、パスの使用で明確に治療意欲が変化したり、主体的に臨めるようになったかという点はわからなかった。依存症治療は、治療プログラムの進行と本人の回復が同時進行するとは限らず、病識や社会環境などによっても病状が変わるため、個別的なケアが必須となる。パスを導入し、ARP参加などのチェックを簡便化することで、個別ケアをより重視した看護が行えるよう期待したい。