日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
実践報告
肺炎クリニカルパス運用分析結果に基づくパス抗菌薬の改訂
杉野 安輝加藤 早紀滝 俊一奥村 隼也三田 亮大田 亜希子髙木 康之柴田 悦子中林 敏岡本 泰岳
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2015 年 17 巻 2 号 p. 123-129

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抄録

 当科では2005年4月からユニット式の肺炎電子化クリニカルパス(以下、パス)を導入し、肺炎入院診療を行ってきた。パスは市中肺炎4種類と誤嚥性肺炎3種類で、パスに設定した抗菌薬以外に担当医が抗菌薬を選択できる抗菌薬選択用パスも運用した。2012年1月からの2年間に肺炎パスを適用した265例を対象に、パスの内訳と抗菌薬の使用実績について検討した。パス適用率は市中肺炎パス(Ceftriaxone+Azithromycin-SR(AZM-SR))が33%と最多であったが、抗菌薬選択用パスが市中肺炎で27%、誤嚥性肺炎で9%と合わせて36%に適用されていた。抗菌薬選択用パスでは、海外のエビデンスを意識したAZM併用療法や日本の医療・介護関連肺炎診療ガイドラインを反映したTazobactam/Piperacillin(TAZ/PIPC)治療が選択されている症例が増加していた。市中肺炎の非定型肺炎パス(Minocycline)は、非定型肺炎の迅速診断が困難なため、パスの適用症例がなかった。今回の分析結果に基づき、AZM-SR併用療法とTAZ/PIPCをパス抗菌薬に組み込み、非定型肺炎パスを廃止した。また、耐性菌リスク因子の評価ツールを新たに導入し、パス診療フローチャートを改訂した。パスの現状分析によりパスの課題が抽出され、パス抗菌薬の標準化やパス運用の見直しにつながった。

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© 2015 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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