日本クリニカルパス学会誌
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Print ISSN : 2187-6592
実践報告
CABGクリニカルパス対象患者在院日数延長症例の要因検討
松石 雄二朗森田 敦子脇阪 美帆鈴木 千晴高橋 理伊藤 丈二阿部 恒平
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2016 年 18 巻 2 号 p. 121-128

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抄録

背景:当院冠動脈バイパス術(CABG)は術後在院日数を9日と設定したクリニカルパスを使用しているが、設定日数より在院日数が延長している印象があったため現状把握を行った。

方法:2011年4月~2014年3月に単独CABG施行した患者を、クリニカルパス設定どおり退院した群(達成群)と設定日数以上延長した群(延長群)に分け、術前・手術・術中術後・術後因子について単変量解析を行い、有意差を認めた因子についてロジスティック回帰分析を行った。

結果:対象者127名のうち達成群46名(36%)、延長群81名(64%)であった。2群間の単変量解析では、NYHAⅢ以上(p=0.02)、緊急手術(p=0.04)、手術室で抜管せず帰室(p<0.01)、輸血投与(p<0.01)、術後挿管時間(p<0.01)、初回歩行開始日数(p<0.01)、せん妄(p<0.01)に有意差があった。多変量解析では、せん妄(OR3.02;95%信頼区間 1.03−8.79)の因子が延長群に有意であった。

結語:パス設定日数どおり術後9日で退院した患者は36%となった。今後クリニカルパス設定日数とクリニカルパスアウトカムの達成率を再度見直すことが課題と考えられる。抽出された要因を用いてパスの改訂を行うとともに、リスク因子ごとのクリニカルパスの作成を行い、患者ケアに生かしていく。

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© 2016 日本クリニカルパス学会
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