2017 年 19 巻 3 号 p. 215-220
小児医療において病状、検査や治療に対する説明の対象者は、親と子どもの2者となる。クリニカルパスの使用により、親への説明は標準化され、親が子どもを安心して入院治療させることの手助けとなっている。しかし、実際に入院対象となる子どもには説明の機会がなく、不安や恐怖を感じながら入院生活を送っている。そこで我々は、患児を対象とした子ども用パスの導入を試みた。
2014年に「スタンプラリー形式」の幼児用パスを作成し、2016年に「なぞなぞ形式」の学童用パスを作成した。看護師から患児にパスの説明をして、病室の枕元にパスを掲示した。1日の終わりに、患児が自分でスタンプを押す、あるいは、看護師がなぞなぞを出し、その際に、患児がパスに目を向け、日々のアウトカムや今後予定されている処置、検査などを再認識できるようにした。2017年3月までの使用実績は、幼児用パス309例、学童用パス34例であった。発達段階にあわせたパス形式にすることで年齢の違いにも対応できた。家族へのアンケート調査にて、患児に対するインフォームド・アセントや検査に対するプレパレーションの効果も確認できた。また、看護師の小児看護に対する意識変化がみられ、教育効果もみられた。
発達段階にあわせた子ども用パスは、子どもが安心して過ごせる療養生活を提供し、インフォームド・アセントやプレパレーションとしても有用であり、患者参加型パスとして活用できる。