目的:外来心臓カテーテル検査クリニカルパス(以下、パス)適用患者のその後の腎機能悪化の予測因子を調べる。また、その臨床研究を通じて現在のパスの妥当性と改訂の必要性を検討する。
方法:対象は外来心臓カテーテル検査パスを適用した患者のうち腎機能が追跡された714名。平均観察期間は20.1±8.5ヵ月。観察期間中に血清クレアチニン値(以下、Cre)が術前から0.5 mg/dL以上上昇したものを腎機能悪化(WRF群)、その他をnon-WRF群と定義した。
結果:WRFは23例でみられた。WRF群では年齢が高かった(72.4±8.2 vs. 67.8±10.0、p=0.027)。また、WRF群では術後初回のCreの上昇値(術前との差)が大きかった(0.14±0.20 vs. 0.01±0.08、p<0.001)。多変量ロジスティック解析では年齢(OR 1.07[1.01 – 1.13]、p=0.027)、術後初回のCre上昇値(0.1 mg/dL上昇あたりのオッズ比2.42[1.73 – 3.39]、p<0.001)が独立した予測因子であった。
結語:年齢および術後初回のCreの上昇が、その後の腎機能障害と関連していた。外来心臓カテーテル検査パスを運用するうえで今後も注意が必要と考えられた。臨床研究を利用してパスの評価を行うことは有用である。
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