日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
実践報告
当院クリニカルパスにおける急性期リハビリアウトカム導入の試み
日髙 淳山田 浩二西岡 智美小妻 幸男町田 二郎
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 24 巻 1 号 p. 24-30

詳細
抄録

 急性期リハビリテーション(以下、リハビリ)においてアウトカム評価は一般化しておらず、診療記録も叙述的となっている。今回、当院のクリニカルパス(以下、パス)に急性期リハビリに関する標準化されたアウトカム(以下、リハビリアウトカム)を設定し、日々の診療に伴うデータを蓄積するシステムを確立した。アウトカムは過去のデータや自験例、渉猟し得た報告、パス上の安静度等を勘案し、Basic Outcome Maste(以下、BOM)1)を用いて設定した。リハビリアウトカムではActivities of Daily Living(以下、ADL)・歩行の評価に加え、Functional Independence Measure(以下、FIM)による定期的な評価を行うこととした。バリアンス記録をデータとして収集、分析することを念頭に、構造化されたバリアンステンプレートを作成した。今回設定したアウトカムは評価からバリアンステンプレートの記載まで理学療法士および作業療法士(以下、セラピスト)が行うこととした。リハビリアウトカムを導入したパスの1つである大腸切除パスを分析した結果、リハビリアウトカムの評価結果は大腸切除術施行患者の転帰予測に寄与する可能性が示唆された。また、術前のADLが自立していてもフレイルである患者に対しては術前介入の必要性や、術後の個別的な介入が必要となる可能性が示唆された。リハビリアウトカムの導入はセラピスト間の介入のばらつきを制御するのみでなく患者の転帰予測や急性期リハビリの成果を評価するツールとなる可能性がある。

著者関連情報
© 2022 一般社団法人日本クリニカルパス学会
前の記事 次の記事
feedback
Top