2022 年 24 巻 1 号 p. 17-23
当院では、心臓血管外科手術後の患者に対して人工呼吸器離脱ユニットパス(以下、呼吸器離脱パス)で標準化された患者管理を行っている。呼吸器離脱パスは、数時間ごとの短い時間間隔でタスクが進行する特徴があり、当院で用いているMegaOrk HR(日本電気株式会社、東京)の電子パスでは作成が困難であった。そのため、電子カルテ導入後もしばらく紙運用を続けた。紙記録を臨床工学技士が集計・分析し、診療現場へフィードバックしていたが、作業に時間を要し、数年に1回の報告が限界であった。また、用紙の紛失や入力漏れなどもあり、データ収集が困難であったため、文書管理システムであるYahgee(富士フイルムメディカルITソリューションズ株式会社、東京)を用いて電子化を行った。電子化するにあたり、BI(Business Intelligence)ツールとETL(Extract Transform Load)ツールを用いて自動可視化の仕組み(RPA: Robotic Process Automation)を構築したが、この工程では、データの構造化、収集方法の工夫が鍵となった。この取り組みの結果、臨床工学技士の業務負担軽減を行い、かつ診療現場への迅速なフィードバックを可能にした。術後管理のトレンドを分析することで、今後の患者管理に活かす仕組みが構築できた。呼吸器離脱パスのデータ分析プロセスを改善したことで、データ集計・分析の省力化により、PDCAサイクルを効率的に回すことができ、医療の質向上のスピードアップが図れた。