日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
原著
クリニカルパス導入による看護師の意識の経時的変化
原野 かおり泉 かよみ大石 洋子佐々木 道江南 宏典
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2002 年 4 巻 2 号 p. 19-23

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抄録

 当院では、平成10年10月よりクリニカルパスの運用を開始しこの3年で使用したクリニカルパスの総数は、4309例である。そこで看護師のクリニカルパスに対する運営意識の変化を把握するために、職員意識調査を継続的に行った。

 クリニカルパス導入後1ヶ月、4ヶ月、1年、2年後、3年後のアンケート調査を行い、その結果を統計処理した。

 有意差がみられた項目は、4ヶ月後では医師の治療状況の把握、インフォームドコンセントの重要性、患者の安心感、患者の協力の得られ易さであった。1年後は、看護師のケアの状況、コメディカルの活動状況、2年後に有意差がみられた項目は、患者の健康状況の把握、検査や処方の減少、業務量の軽減、クリニカルパスを導入して良かったであった。患者説明の労力については、有意差がみられなかった。

 患者中心に医療チームが共同してクリニカルパスを作成したことにより、使用早期からチーム医療活動を把握出来るようになった。また患者用クリニカルパスの使用で、患者への説明内容が詳細にできるようになった。説明時間の短縮には繋がらなかったが、患者の安心感や協力が得られやすくなった。さらに治療や業務量を検討し改訂することで、検査や処方が減少し業務量も軽減することができ、クリニカルパスを導入して良かったという結果に繋がったと考える。

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© 2003 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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