日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
原著
クリニカルパス使用による在院日数・経済効果の評価
山根 哲郎岡野 晋治向井 弘美高城 一郎小田原 靖山添 道明津島 智
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2003 年 5 巻 1 号 p. 19-23

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抄録

 当院では1999年8月よりクリニカルパス(CP)を導入した。今回、CP導入前後の在院日数・総入院診療費・1日当りの診療単価を検討することにより、病院経営におけるCPの経済効果を評価した。2001年には腹腔鏡下胆摘の87.7%、成人鼠径ヘルニアの81.5%にCPを利用した。そこで腹腔鏡下胆嚢摘出術・成人鼠径ヘルニア根治術の症例を1999年8月から12月までのCP使用前、2000年1月から5月までのCP使用直後、2001年10月から2002年2月までの最近の3期に分け、CP使用前後の各時期20症例について比較・検討した。腹腔鏡下胆嚢摘出術では、CP使用前・後・最近で各々時期の在院日数はCP使用前と最近では約4日間の在院日数の短縮がみられ、1日単価も約2,500点の増収を見た。しかし、総入院診療費は減少する傾向であった。成人鼠径ヘルニアも在院日数はCP使用により約3日間短縮した。1日単価も約1,000点の増収となり、最近ではその傾向はさらに著明で、総入院診療費も同様に減少する傾向にあった。在院日数の短縮にはCPによる術前の説明が有効であり、在院日数の短縮が1日単価の増加と総入院診療費の低下につながり、DRG/PPSの今後の運用にも有利と考えた。今後、CPの有効利用と改善により、在院日数の短縮、1日単価の増収など病院の経営に貢献し、効率的なベッド稼動ができると考えた。

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© 2003 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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