日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
原著
RSウイルス感染症における抗生剤投与の必要性についてのクリニカルパスを用いた検討
込山 修木村 和弘市川 正孝山本 敬一吉原 宏樹清水 貞好
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キーワード: Clinical path, RSvirus, antibiotics, EBM
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2003 年 5 巻 1 号 p. 25-29

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抄録

 RSウイルス抗原が迅速検査で陽性の呼吸器感染症入院患児72例(肺炎32例、気管支炎40例)に対して、クリニカルパス(パス)を用いて加療し、集積したデータからパスの妥当性を評価するとともに、抗生剤投与の必要性について検討した。パスは、従来の入院治療例を参考に検査・治療内容を統一し、抗生剤は奇数日入院患児には投与、偶数日入院患児は非投与を原則としたが、合併症が示唆される症例などでは主治医の判断により投与可能とした。患児の大半は入院後3日以内に下熱し、1週間前後で退院しており、パスとしては妥当なものと考えられる。5例は発熱が続いたため途中から抗生剤を投与したが、その内4例に合併感染を認めた。これを除いた非投与群23例(肺炎5、気管支炎18)と投与群44例(肺炎24、気管支炎20)との間には、肺炎の有無にかかわらず入院時のCRP、入院後有熱日数、入院日数に有意差は認められなかった。

 改訂パスでは、基礎疾患がなく、呼吸管理を必要としない症例では、全例抗生剤非投与を原則とし、抗生剤追加投与が必要な症例をバリアンスとして扱い、その分析から抗生剤投与の適応基準を明確にしていくつもりである。

 パスの導入により共通したベースラインでの比較検討が可能となる。パスの中に工夫を凝らし、さらなるエビデンスが得られるようにしていきたいと考えている。

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© 2003 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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