2003 年 5 巻 1 号 p. 51-56
本研究の目的は、人工膝関節全置換術(以後TKAとする)を受ける患者及びケアを提供する医療者側双方に効果、効率的であるクリティカルパス(以後パスとする)を開発し評価を行うことである。1996年12月~1997年12月までにパスを使用せずTKAを受けた患者51名をコントロール群、2000年7月~2002年7月までにパスを使用しTKAを受けた患者50名を実施群と設定し、在院日数の短縮やリハビリ開始までの日数、患者アウトカムの指標とし比較評価した。また、TKAパスのアウトカム指標の妥当性を検討する為に、ケア実施率と共に患者側と医療者側の評価の差を分析した。
その結果以下の知見が得られた。
1.パスを使用する事で在院日数が短縮した。
2.リハビリの進行は、パスを導入する事で「端座位」「車椅子乗車」「平行棒内歩行」が早期に開始できた。
3.患者アウトカムは、100%に近いアウトカムを得る事ができた。特に「膝の屈曲が100度以上できる」のアウトカムが高かった。また、看護師と患者のアウトカム評価に差が無かったことにより両者共に効果がもたらされた。