近森病院(以下当院)では平成12年4月にクリニカルパス委員会を立ち上げ、クリニカルパス(以下パス)の導入推進にあたり、現在34種類のパスを作成・運用している。また平成14年より定期的にパス大会を開催し、パスの啓発と職員教育に効果を得ることができた。薬剤師もこれまで、抗菌薬や消毒剤、鎮痛剤などについてパス使用患者を対象にした調査・分析を行い、問題を提起するなど積極的にパス大会に関わっている。腹腔鏡下胆嚢摘出術(以下LC)のパス大会では、術後感染予防抗菌薬について標準化されていない状況を報告し、パスに基づいた薬剤使用を推奨する発表を行った。今回、パス大会後の薬剤使用状況について調査した結果、95%の症例でパス通りの抗菌薬が選択され、投与日数もパスに則した投与が行われていた。さらに医師による薬剤選択の偏りも見られなかった。パス大会での討議により、広く医師の同意を得ることができ、抗菌薬のバリアンス減少、パスによる医療の標準化につながったと思われる。パス大会での発表は薬剤師にとってもチーム医療の一員としての立場を明確にアピールできると同時に、専門性を磨く必要性を実感する機会となっている。