2007 年 9 巻 1 号 p. 31-35
心臓カテーテル検査における放射線皮膚障害を予防するため、被曝線量の測定を行い、被曝量低減のプログラムをクリニカルパスに導入した。表面線量簡易換算法を用いて150症例で被曝線量を測定し検討を行ったが、左肩甲骨下が最大の被曝部位であることが分かった。さらに、最初の放射線障害が現れる可能性がある2Gyを越える検査は、右心圧測定・冠動脈造影・左心室造影+グラフト造影のみであることが分かった。これは、通常の撮影以外にグラフトからの造影も含まれるので、その分の撮影・透視が多くなり2Gyを越えると考えられた。平均被曝線量は撮影一回で平均0.12Gy、透視一分間で平均0.07Gyであった。透視時間を15分以内とすれば被曝線量は1Gy以下となり、また、15分を越えれば手技的に合併症の発生率が高くなるということ1)も考慮し、適正かつ標準的な透視時間を15分以内と設定した。この透視時間を設定することで、検査中に放射線技師より他スタッフへ時間超過の注意を促し、被曝を低減することが可能である。これにより、どの部位がどれだけ被曝し、どのような障害が現れる可能性があるかを明確にすることができたため、より安全な検査が可能となった。