犯罪社会学研究
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地域の非行防止活動の活性化について
地域レベルのプロセスと効果の検討
小林 寿一
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キーワード: 活性化, 地域活動, 非行防止
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2002 年 27 巻 p. 74-86

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抄録

全国の92地域で収集した調査データを地域単位で分析し,地域の非行防止活動を活性化するプロセスと活性化された非行防止活動が少年非行の発生に及ぼす効果について,実証的な検討を行った.構造方程式モデリングの分析結果として,民主的かつ効率的に,非行防止活動が運営されている地域ほど,住民ボランティアの活動水準が高くなるが,この関連は住民ボランティアの地域に対する自己効力感の高さによって媒介されることが明らかとなった.さらに,住民ボランティアの活動水準が高い地域ほど,少年非行の発生水準が低くなるが,この関連は,青少年に対する地域住民全般の働きかけの程度によって媒介されていることが明らかとなった.したがって,地域の非行防止活動が効果を生むためには,民主的かつ効率的な活動運営が極一部の住民ボランティアの活動を活性化するだけでは不十分であり,地域に居住する一般住民の多くを巻き込むように作用することが非常に重要であると考えられる.

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© 2002 日本犯罪社会学会
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