日本障害者歯科学会雑誌
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臨床集計
重症心身障害児者の全身麻酔下歯科治療における術後経過に関する調査
志岐 晶子石倉 行男緒方 克也
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2015 年 36 巻 2 号 p. 156-162

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抄録

全身麻酔下歯科治療を受けた重症心身障害児者(横地分類A1~4,B1~4)38名の術後合併症のアンケートから,対象者を寝返りが打てない「寝たきり群;Bedridden group」(BR群;A1,B1)と寝返りまたは移動ができる「非寝たきり群;Non-bedridden group」(NBR群;A2~4,B2~4)に分け,術後合併症の出現頻度に差があるかを比較した.アンケートの質問内容は術当日夜の,1.意識状態,2.術後嘔吐,3.食事の開始,4.嚥下機能,5.気道,の5項目についてと,6.術後1週間以内の体調悪化(前5項目の内容を除く),についてであった.
術当夜の問題についての両群比較では,質問項目すべてにおいて出現頻度に有意差はみられなかった.しかしながら,BR群で覚醒遅延が翌日以降まで継続した症例が2名みられた.合併症が翌日以降も継続した症例の両群比較では,6の質問に関してのみNBR群で有意に出現頻度が高かった(p<0.05).NBR群において術後数日間継続した問題は,発熱や不穏,食欲低下などであった.

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© 2015 一般社団法人 日本障害者歯科学会
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