日本障害者歯科学会雑誌
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症例報告
精神遅滞を伴うAarskog症候群児の歯科治療経験
木下 樹熊坂 祝大嶋 瑛稲田 穣深山 治久
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2016 年 37 巻 2 号 p. 151-156

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抄録

Aarskog症候群は,特異顔貌,外陰部奇形,手指の異常,低身長などを特徴とする症候群で,まれな遺伝性疾患の一つである.今回,精神遅滞を伴い,極低出生体重児(1,154g)で出生した既往を有する,5歳3カ月のAarskog症候群男児の全身麻酔下歯科治療を経験したので報告する.

初診時,齲蝕を多数認めたが,治療に非協力的なため,全身麻酔下に治療を行う方針とした.麻酔管理上の問題点は,極低出生体重児の既往と下顎低形成による挿管困難の可能性,喘息の既往が考えられたが,既往歴に関する情報収集や挿管困難に対する準備を行うことで対応した.全3回にわたる全身麻酔下歯科治療で,乳臼歯部の感染根管処置と歯冠補綴物による咬合の挙上,前歯部の充塡処置,保存困難な右側下顎第二乳臼歯と左側下顎第一乳臼歯の抜歯を行った.懸念された麻酔中の呼吸器系のトラブルは発生しなかった.周術期管理は,院内小児科医師との連携を密に図り,術前から術後までを小児科医師と連携して管理を行った.術後の合併症は認めず,術翌日に軽快退院した.

治療後は,家庭での安定した口腔衛生管理を確立させることと,歯科診察のトレーニングを中心に経過観察を行った.多数歯齲蝕の既往に加え,下顎低形成と上下顎歯槽基底周長の不調和に伴う過蓋咬合を認めたことから,口腔衛生管理や指導と,歯列や咬合育成状況についての経過観察を継続する必要があると考えられた.

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© 2016 一般社団法人 日本障害者歯科学会
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