2016 年 37 巻 2 号 p. 180-185
本研究は,兵庫県西播磨地域に8カ所存在する地域活動支援センターを利用する障害者88名の口腔保健に関するニーズとかかりつけ歯科医をもつことの関連を明らかにすることを目的として,χ2検定を行った後,歯科治療ニーズとかかりつけ歯科医をもつこととの関連を多変量ロジスティック回帰分析により検討した.
その結果,61名(69.3%)がかかりつけ歯科医をもっていた.未処置う蝕を有する者の割合は,かかりつけ歯科医がない者で81.5%と,ある者の50.8%よりも多かった(p=0.007).補綴の必要性を有する者も,かかりつけ歯科医がない者で40.7%と,ある者の18.0%よりも多かった(p=0.023).
性別と年齢を調整した多変量ロジスティック回帰分析の結果,かかりつけ歯科医のある者はない者と比較して,未処置う蝕を有する者が有意に少なかった(Odds ratio:0.72,95% confidence interval:0.58-0.90).一方,かかりつけ歯科医と進行した歯周疾患の間に統計学的に有意な関連は認められなかった.なお,補綴治療の必要性については有意な関連は認められなかったものの,かかりつけ歯科医がある者ほど補綴治療の必要性が少ない傾向にありオッズ比の信頼区間の幅は比較的狭かった(OR:0.84,95%CI:0.69-1.02).
かかりつけ歯科医をもつことが,障害者の未処置う蝕を減らし,口腔保健に関するニーズを満たす可能性が示唆された.